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引きずられていく春野君に苦笑いを浮かべると、香緒ちゃんは「よし!」と、意気込んだ。
何かと思って首を傾げれば何だかとても素敵な笑顔を浮かべていた…
「こっそり探りを入れるしかないわ」
「ねぇ春、ちょっと顔かしなさい」
お昼、売店へパンを買いに行く春野君を香緒ちゃんが拉致した。
っていっても、昼休みに部活の先生に呼ばれた山田君のパンを買いに行くのについてきただけなんだけど…
「百合ちぃ!?のりちゃんったらまだ気にしてたの?」
「そりゃするでしょ!」
「でもぉ…ホントに悟も未練もないしぃ…あ、焼きそばパンとメロンパンとぉ、オニギリ4つくださぁい☆」
「でも4年も片思いしてたんでしょ?」
「そうよ~、小学校の5年生で恋に落ちてぇ、百合ちぃが中学卒業すりときに告白したんだけど、スッパリ振られたの」
春野君は買った物を受け取ってお金を払うと何故かブフッと笑った。
「何?」
「ちょっと思い出し笑い~♪」
「春野君、山田くんってどうして振られたの?」
「それはぁ…んっとぉ…そりゃ百合ちぃのタイプじゃなかったのよぉ☆」
「何、今の間」
「えぇ?なんのことぉ~?」
「振られた理由のとこ!」
「嘘は言ってないもぉん!…ブフッ…真実はぁ多少ハショったけど♪」
「さっきから何笑ってるのよ!白状しなさいよ!」
香緒ちゃんは春野君のほっぺたをビヨビヨと引っ張ってる。
「香緒ちゃん!春野君に無理強いは良くないよ!」
「だってぇ百合ちぃに振られた理由はぁ」
「浩輝!!」
「山田くん!?」
教室の前、たぶん会話が聞こえたんであろう山田君が走って来て香緒ちゃんから春野君を奪うと、春野君の口を押さえて羽交い締めにした。
「フフッ…」
その光景に思わずニヤケてしまった香緒ちゃんが慌てて顔を反らした。
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