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「こら、何話してんだよ…」 少しムッとした表情の山田君が呟くと、春野君はオチャメに笑って見せた。 「ほらぁ、昨日百合ちぃに会ったんでしょ?あんな美人と何か関係があったんなら気になっちゃうじゃない?ねぇ、のりちゃん」 「なっ…太田には関係ないだろ、話す必要ない…」 慌てたように言葉を遮った山田君の言葉にサッと水を被せられた気がした。 「っ」 「悟~言い方ひどいよぉ!」 「あ…いや、そういう意味じゃなくて」 プクっと膨れる春野君の言葉にハッとする山田君。 私には関係ない…かぁ… 「いいの!山田君ごめんね?昨日の人、すごく綺麗だから気になっちゃって…」 上手く笑えなくてうつ向くと、更に焦ったように山田君が続ける。 「百合とは友達だけど…あんまり思い出したくない事があるんだ…俺だけの問題でもないし…ホントになんでもなくて…太田には勘違いしてほしくない」 「そっか…」 山田君の言葉に頷いてみたものの、関係ないっていわれた言葉が胸に突き刺ささってうまく頭に入って来ない。 「へ~、のりちゃんには、ねぇ~」 「!!とっとにかく!浩輝も余計な事いうなよ…」 昼が終わるぞ、と言って教室に入る山田君を見送ると、香緒ちゃんが何か考え込むように山田君を見ていた。 「はぁ…どうしよう」 「ん?」 「怒らせちゃった…」 泣きそうになって呟くとギョッとしたような顔をする香緒ちゃん。 「怒らせてないよ!え、ちょっとのりちゃんたら…気づかなかったの!?」 香緒ちゃんの言葉に首を傾げると呆れたように「のりちゃんも鈍感よね」 と返ってきてさらに首を傾げる羽目になった。
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