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☆☆
「さぁ~むぅ~いぃ~~」
「太田、悪いけどそこの資料取って」
「あ、うん」
「あったかい肉まんたべたぁぁあい」
「ちょっと春邪魔!こんな所でゴロゴロしないでよ!」
「いたっ!香緒ひどいよ~!蹴る事ないじゃな~い!」
「お前も手伝えよ…浩輝」
私は今、学校のクリスマス会の準備中。
今度クラス毎で行われるクリスマス会の実行委員になったの。だから放課後実行委員で集まって先輩達がどんなのやってたか見てたりしてるんだけど…
「だいたい、春がやりたいっていったんじゃない!私ものりちゃんもいいとばっちりなのに…」
香緒ちゃんが渋い顔をしながら段ボールに入った大量の衣装を引っ張り出してる。去年先輩たちが使ったやつみたい。
「だぁってぇ、クリスマス会とか楽しそうじゃない☆でも一人じゃ無理だし~、どうせなら私の好きな子達と楽しく計画立てたいもん♪」
「立てたいもん♪じゃないわよ…こっちの都合も考えないで…」
「ま…まぁまぁ香緒ちゃん、こういうのもたまにはね…」
「だよね~!のりちゃん!」
春野君にニコリと微笑まれると、香緒ちゃんに「のりちゃんは甘いよ」と言われてしまった。
でも、ホントにみんなで何かするって楽しいし、山田君もいるし…
「あれ…何これ…」
香緒ちゃんが段ボールから出したのは大量のサンタの赤い帽子だった。
それを見た瞬間、春野君は飛び起きて香緒ちゃんから帽子を奪うと頭に乗せて見せた。
「似合う~?」
「似合う似合う」
適当に相槌をうち香緒ちゃんに春野君は頬を膨らませるともう一つ帽子を取って香緒ちゃんに被せた。それからこちらにもくると私にも帽子を被せた。
「悟!見て~美女サンタ三人組~似合う?」
「似合うけど……三人組じゃないだろ。お前は美女ではないし」
「そうよ。春は女の子じゃないもんね」
山田君が苦笑いで告げれば春野君はまた不満そうに講義を始めた。
でもそんな事よりも、似合うって言われた事が恥ずかしくて私はこっそり帽子を脱いだ。
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