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別に特に意識して言った言葉じゃないのは分かってるんだけど…そんな些細な言葉にさえ、バカみたいに嬉しくなる。 「太田?」 「え…?」 「体調悪いのか?顔赤いけど…」 「!全然っ大丈夫!」 山田君が心配そうに顔を覗き込んでて慌てて言い訳をするけど、変に声が裏返ったから余計に山田君は訝しげな表情になった。 「熱とかあるんじゃないか?」 「な、ないよっ!」 ふいに出された手に思わず顔を反らしてしまうと山田君は訳がわからないと言った感じで固まってしまった。 わ…私のバカ…こんなんじゃ私の気持ちバレバレじゃない! 「どれどれ……やだのりちゃん大変!熱があるんじゃない?保健室行った方がいいわよ!山田君連れてってあげたら?」 「!香緒ちゃ……」 急にオデコに手が当てられてそちらを見れば、香緒ちゃんが人の悪い笑顔を浮かべながら立っていた。 焦って大丈夫だと言おうと思ったら春野君が私とほっぺたをくっつけてわざとらしく「やだ~!39℃くらいあるんじゃない!?」と騒いだ。 この二人には私の気持ちがバレてるから、こうやってたまに協力(?)してくれるけど、あんなあからさまに反応した後じゃどうしていいか分からない! 「行こう太田」 グッと手を引かれて更に顔が熱くなるのが分かった。 「あの!ホント、熱なんてないよ!」 私の弁解も聞かずに山田君は私の手を引いて歩き出して、振り返れば香緒ちゃんと春野君が笑いながら手をヒラヒラと振っていた。
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