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保健室につくと、あたりまえだけど熱なんてなかったから先生には早めにかえりなさいって言われただけで追い返されてしまった。 「準備はいいから今日は帰った方がいい」 「え、でも…」 「元は浩輝がいいだした事だし…」 山田君は相変わらず手を引いたまま歩いてる… もう人気もなくて、周りの目を気にしなくてもいいから、逆にラッキーだって思えてきた。 「あれ?」 「あ…」 「あぁ…わりぃ」 教室に入る前、山田君が扉に手をかけるまえに乱暴に開かれた扉からはよしちゃんと香緒ちゃんが出てきた。 香緒ちゃんが繋がれた手を見ると、ものすごくニンマリと笑うから慌てて手を離しちゃった。 山田君は一瞬驚いた様にこちらを見てからすっと香緒ちゃんに視線を移す。 「ごめんね、今日は先に帰るわ」 香緒ちゃんが相変わらずニヤニヤと笑いながら告げた言葉にどうしていいか分からなくて小さく頷くと、山田君は思いついたように口を開いた。 「あ、太田、一緒に帰ったらどうだ?体調悪いなら誰か一緒のがいいだろ?」 「え?山田君送ってあげなよ」 香緒ちゃんの言葉に山田君が気まずそうにどもった。 それを見てさっきまで受かれていた気持ちが一気に萎んで行くのが分かる。 「お前が送れ」 「え?」 よしちゃんは面倒くさそうに眉を寄せてる。 「そうよ~送ってあげなって~☆私も今日は帰るし、香緒と先輩とご飯食べるからぁ」 春野君がひょっこり顔を出すとよしちゃんはあからさまに不機嫌そうに唸った。 「あぁ?誰がそんな「そっそうよっ山田君、送ってあげて?」」 唸るよしちゃんの口を香緒ちゃんが押さえて言葉を遮る。 二人共…わかりやすすぎるよ… 何か言いたそうなよしちゃんの背中を二人でグイグイ押して三人は帰っていった。 取り残された山田君はしばらく困ったように三人の背中を見ていたけど、諦めたようにため息をついて、 帰るか…と呟いた。
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