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帰り際、さりげなくカバンを持ってくれて…しかもいつもより歩くペースが遅い気がする… 優しいなぁ…だからモテるんだよね… 良く考えたら二人で帰るなんて初めて。 横に並んで歩く山田君の顔を見上げて思わず頬が緩んでしまった。 中学の頃なんて話しかけもできなかったのに、今こうして隣に並んで居られるのが不思議で嬉しい。 少しだけ伸ばせば触れられる位置にある大きな手にまた触れたいと思った… さっきまで繋いでいた感触を思い出して小さくため息をつく。 臆病な私にはなかなか近づけない距離… 友達でいられるのは嬉しいけど、やっぱり友達じゃ消化不良起こした気持ちだけ溜まってどんどんもどかしくなっていく。 「初めてだな…」 「え?」 「太田と二人で帰るの。いつも浩輝がいたり加藤がいたりするからさ。」 「そう…だね。」 山田君は別にこっちを見るわけでもなく話しかけてくる。少しオレンジに照らされた横顔がカッコ良くて思わず見とれると不意に目が合ってしまって咄嗟に視線を戻してしまった。 「なぁ…太田って…もしかして俺の事苦手だったりするか?」 「え!?」 唐突な問いかけに慌てたせいでスットンキョンな声が上がると、山田君は気まずそうに頬を軽くかいた。 「いや…よく目反らすし…俺が触るとビクついてるし…」 「ち、違うの!!そのっえっと、慣れてなくて!……今まで年の近い男の人ってよしちゃんくらいしか親しくなかったし…」 「……浩輝が抱きついても笑って…」 「だって…春野君は…」 のりちゃ~ん!なんてニコニコ可愛らしく笑う春野君の女の子より可愛らしい顔を想像して苦笑いすると、山田君はどこか気まずそうな…というか拗ねたような表情を浮かべていた。 「俺も浩輝も変わらない」 いや、変わると思うんだけどな…だいぶん… そう思ったのが顔に出たのか、山田君は少し難しい顔をして 「浩輝みたいな方が接しやすいのか…やっぱり」 と呟いた。 山田君が春野君みたいに 『きゃ~!あれ可愛い♪』と叫んでいるのを想像して思わず笑ってしまった。 「太田、変な事想像したな?」 「ふふっ…ごめんね…でも、私は山田君はそのままで十分かっこいいし好……………………」 「す?」 「すっすっ!!素晴らしいと思うんだけどな!!」 「?」 すっ好きって言っちゃうとこだった!!
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