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いや別に好きって言ったって友達としての好きだと思うだろうけど、こっちにそれ以上の気持ちがあるから恥ずかしいしってパニックで頭がぐちゃぐちゃ… 「俺はかっこいいのか?」 「う、うん。だって山田君モテるでしょ?」 「モテないけどな…」 「中学の頃から女の子に良く呼び出されてたのに?」 「……良く知ってるな」 墓穴!! 「ほら!山田君と春野君のコンビ有名だったし!!」 「それは主に浩輝が悪目立ちしたせいだけど…」 いや、山田君は山田君単品でも目立ってたよ… 「そうか…うん。太田は俺の事かっこいいと思ってるんだな。苦手なわけじゃないなら良い」 小さく笑みを浮かべて呟く言葉に少し胸が暖かくなった。 私に嫌われてなくて良かったって言ってるんだもんね… そりゃぁ友達だと思ってくれてるんだろうけど、嬉しいよ… この距離の後一歩はどうしたら縮まるんだろう。 「あれ?悟??」 駅に近づいた時に前から掛けられた声に山田君は反応すると一瞬顔を引きつらせ、でもすぐに笑顔になった。 声を掛けて来たのはスラッと足の長い美人な女の子。近所で有名な名門女子校の制服を着たその子は長い黒髪をサラサラ揺らして近づいてきた。 うわぁ…可愛い…お人形みたいだわ… 「久しぶりだな百合」 「元気そうで相変わらず良い男ね!」 屈託なく笑うその笑顔は本当に綺麗なんだけど…それより「百合」なんて呼び捨てで呼ばれる彼女が何者なのか… 「あれ?彼女?」 ふと綺麗な二重の目が私を捉える。 「あ…いや…」 困ったようにどもる山田君に違和感を覚えた。 「違います…友達です」 代わりに答えると百合さんは綺麗な目を細めて笑った。 「へぇ~悟に一緒に帰る女友達ができたんだぁ…じゃぁ私の事は乗り越えたのね♪」 「百合っ!」 急に慌てたような山田君が私の手を引いた。 「急ぐし、帰る」 「そう?残念。久しぶりなのに…あ、私アドレス変わってないし連絡ちょうだいよ、あ、もしかして悟も変わってない?」 「…変わってない。じゃぁな」 「山田君!?」 何が起きたか考える間もなく歩き出す山田君に驚きながら百合さんを見ると楽しそうに笑いながらヒラヒラと手を振っていた。
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