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「いよいよっ‼
クライマックスだわぁ
本当、日本人って、こういう話が好きだわよねっ」
今にも、泣き崩れそうな、新婦と新婦の父親の姿を見ながら、私は思った
「私の結婚式の時も、私の父親もあの父親のように号泣するのだろうか
それとも・・・
いや、号泣するだろうな」
と私は新婦の父親を私の父親に写しながら見ていると、案の定、私の前の四十半ばの上司が泣き崩れ始めた
私はそっと、百均で買った、ハンカチを上司に手渡すと、これまた、それが決まりでもあるかのように、鼻を咬んだ
「あぁ~、やっぱり
こうなるんだよねっ‼
百均のハンカチを用意して、よかった」
と私は心の奥底から、そう思った
そして、結婚式は無事に終了した
「友里子っ‼友里子っ‼
こっち、こっち」
と文子は私の腕を掴むと、二次会、参加者を募っている、テーブルへと、私を引っ張って行った
そして、テーブルの前に行くと、私と文子は氏名を参加者名簿に記入した
「"White StocK"?
"ホワイト・ストック"って、読むのかな?
文子っ‼
このお店、知ってるの?」
と私は文子に聞いた
「友里子っ‼
本当に、本当っ?
知らないの?」
と文子は私に聞き返して来た
私は素直に、首を左右に振った
「だって、このお店、殆んど、予約で一杯なのよ
たとえ、予約が取れたとしても、一人じゃねぇ~
だから、私も入った事が無いの
それは、お店の名前が"ホワイト・ストック"だからだと思うんだけど」
と文子は呆れ顔をしながらも、私に答えてくれた
「ホワイト・ストックねぇ
聞いた事が無い、言葉だよ」
と私は独り言のように、文子に言った
「そりゃ、そうだよ
私と友里子じゃねぇ
まだ、縁遠い、話だからねぇ~
お店の名前が"レッド・ストック"または、"イエロー・ストック"ならなぁ・・・
私や友里子に、ピッタリなんだけどね」
と文子は笑顔で、私に言った
「"レッド・ストック"?
"イエロー・ストック"?
ストックって、"たくわえる"って意味よね?
赤や黄色をたくわえて、どうするの?」
と私は真面目な顔で、文子に言うと、文子は目が点になると、笑い出した
「ストックって、アブラナ科の植物よ
そして、赤色の花言葉は確か、"信じて下さい"
黄色は、"寂しい恋"
今の私と友里子にピッタリじゃない」
と文子は寂しそうに、私に言った
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