White Stock

4/5
前へ
/16ページ
次へ
「いよいよっ‼ クライマックスだわぁ 本当、日本人って、こういう話が好きだわよねっ」 今にも、泣き崩れそうな、新婦と新婦の父親の姿を見ながら、私は思った 「私の結婚式の時も、私の父親もあの父親のように号泣するのだろうか それとも・・・ いや、号泣するだろうな」 と私は新婦の父親を私の父親に写しながら見ていると、案の定、私の前の四十半ばの上司が泣き崩れ始めた 私はそっと、百均で買った、ハンカチを上司に手渡すと、これまた、それが決まりでもあるかのように、鼻を咬んだ 「あぁ~、やっぱり こうなるんだよねっ‼ 百均のハンカチを用意して、よかった」 と私は心の奥底から、そう思った そして、結婚式は無事に終了した 「友里子っ‼友里子っ‼ こっち、こっち」 と文子は私の腕を掴むと、二次会、参加者を募っている、テーブルへと、私を引っ張って行った そして、テーブルの前に行くと、私と文子は氏名を参加者名簿に記入した 「"White StocK"? "ホワイト・ストック"って、読むのかな? 文子っ‼ このお店、知ってるの?」 と私は文子に聞いた 「友里子っ‼ 本当に、本当っ? 知らないの?」 と文子は私に聞き返して来た 私は素直に、首を左右に振った 「だって、このお店、殆んど、予約で一杯なのよ たとえ、予約が取れたとしても、一人じゃねぇ~ だから、私も入った事が無いの それは、お店の名前が"ホワイト・ストック"だからだと思うんだけど」 と文子は呆れ顔をしながらも、私に答えてくれた 「ホワイト・ストックねぇ 聞いた事が無い、言葉だよ」 と私は独り言のように、文子に言った 「そりゃ、そうだよ 私と友里子じゃねぇ まだ、縁遠い、話だからねぇ~ お店の名前が"レッド・ストック"または、"イエロー・ストック"ならなぁ・・・ 私や友里子に、ピッタリなんだけどね」 と文子は笑顔で、私に言った 「"レッド・ストック"? "イエロー・ストック"? ストックって、"たくわえる"って意味よね? 赤や黄色をたくわえて、どうするの?」 と私は真面目な顔で、文子に言うと、文子は目が点になると、笑い出した 「ストックって、アブラナ科の植物よ そして、赤色の花言葉は確か、"信じて下さい" 黄色は、"寂しい恋" 今の私と友里子にピッタリじゃない」 と文子は寂しそうに、私に言った
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加