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「なんてこった…。」
「わかったでしょう。今はもう時間が無いの。表に車を用意してあるわ。準備ができたらすぐに新宿へ向かうわよ。」
飛鳥はそう言って部屋から去っていった。雅紀はただただ悩んでいた。
雅紀には再びゼロと戦う決心がつかなかった。それどころか、自分がどうしたいのかさえわからなかった。
「畜生……っ。」
雅紀はそう小さく呟いた。
研究所の外に出ると、飛鳥の他にも、多くの自衛隊員がいた。
そして、彼らは皆雅紀に対して敵対心をむき出しにしてにらんでいた。
―やはり俺がエイリアンだからか……。
雅紀は内心やれやれと思いながら、飛鳥の運転する車に乗り、新宿へと向かった…。
研究所を発ってから数十分後、雅紀はふと飛鳥に尋ねた。
「なあ……あんたはいつも感情を殺して冷静に話をする。だが、ゼロに対する話になるとあんたは若干感情的になる。なぜなんだ?」
「それも超能力?」
「さあな。」
すると、飛鳥はおもむろに口を開いた。
「……私にとって、土門怜侍は兄のような存在だった。いつも私の側にいてくれた…大切な人だった……。だからこそ、彼があんな姿になって人々を苦しめているのが許せない!だから私はあの怪物を殺す!この手でね!」
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