第1章

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2020年、「新宿事件」から12年が経った。新宿はほぼ復興し、人々は事件をすでに忘れ始めていた。 しかし、未だに新宿事件を忘れられない男がいた。 彼の名は一条雅紀(いちじょうまさき)。 事件の発生時、雅紀は新宿にいた。そして、事件に巻き込まれたのだが、彼は奇跡的に殆ど無傷で生還した。 そのせいで、彼は一時期メディアにかなり大々的に報道された。しかし今ではメディアも沈黙し、平穏な生活を送っていた。 「お前どうした?顔色悪いぞ。」 雅紀の大学の友達が声をかけてきた。 「最近、変な夢を見るんだ。」 「変な夢?」 「何故か俺が新宿事件の現場にいて、辺りを見回すと赤い巨人が俺を見下ろしているんだ。そして、俺がそいつに手を延ばそうとすると必ず目が覚めるんだ。」 「たしかに不思議な夢だけど、別に何か起こるわけじゃ無いだろう。」 「まぁ、そうだけど…。」 しかし、雅紀にはもう一つ気になることがあった。 雅紀は最近、いつも誰かに見られているような気がしていたのだ。 雅紀はなるべくすべて気のせいだと考えるようにした。 しかし、それはすべての始まりだった……。
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