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その夜、雅紀はなかなか寝付けないでいた。何度も見る赤い巨人の夢、たびたび感じる視線などが彼を悩ませていた。
すると突然、雅紀の頭の中に声が聞こえてきた。
―ここまで来い。
雅紀は最初、これを空耳だと思った。しかし、何度も頭に声が響くので雅紀は声のする方へ向かうことにした……。
頭に響く声を辿っていくと、雅紀は町外れにある大きな倉庫にたどり着いた。雅紀は意を決して倉庫へ入っていった…。
倉庫の中はしんと静まり返っていた。
「誰もいないのか……?」
雅紀はそう呟いた。すると、
「待っていたよ、一条雅紀君。」
「誰だっ!?」
雅紀は声がした方へ叫んだ。そこには一人の男が立っていた。
「お前が俺を呼んだのか?」
「そうだ。君は私にとって邪魔な存在だからね」
「何だと!?」
「だからここで死んでもらうよ!」
そう言うと、男はいきなり姿を変え始めた。その姿はまさしくトカゲ男とでも言うべき姿だった。
そして、トカゲ男は雅紀に対して攻撃の体勢をとった。
雅紀の頭の中は今、目の前の非現実的なものと対峙したこと、そしてその生物に殺されそうになっていることに対しての恐怖が渦巻いていた。
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