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翌朝、忍はいつものように通学していた。大きくあくびをすると、タバコをくわえる。
昨日は3時まで働いていた。いや、飲んでいた。もともと店は1時までである、が、とある客が忍を気に入ってしまい、3時まで飲んでいたのだ。
流石に眠いな、忍はいつもの公園のいつものベンチに腰掛けた。結局、寝たのは4時過ぎだった。
タバコを吸い終わると、携帯灰皿にタバコを捨てる。缶コーヒーも飲み干して空き缶はくずカゴに投げ捨てた。
「あいつ、どうかしたのか?」
そう、秋子がこないのだ。いつもならとっくに横に座っているはずの時間である。忍は次のタバコに火をつけていた。
「神夜 忍君だね?」
不意に声がかかる。忍はタバコをくわえたまま振り向いた。
「私達について来てもらおう、君に拒否権はない」
二人組の男がそこに立っていた。手にはナイフが握られている。昨日、秋子を連れ去った二人だった。
忍はタバコを吐き捨て、二人を睨みつける。その顔にはナイフが突きつけられていた。
「てめぇら、これは俺に喧嘩を売ってるんだな?」
言うが早いか手に持っていた鞄を投げつける。怯んだ男がナイフを離した隙に、忍は立ち上がると、すぐに殴りかかった。狙いはナイフを持った方だ。
「なめたことしてんじゃねーよ!」
ナイフで怯むと思っていた男は、その顔に強烈なパンチを浴びた。ガクッと膝が折れ曲がり、そのまま前に倒れ込む。
忍の右フックが正確に左顎を捉えていた。おそらく脳震盪をおこしているだろう。
倒れた仲間を気にしたもう一人の男には、次の瞬間、蹴りが浴びせられていた。側頭葉に強い痛みを覚えた時には、もう意識はなかった。
「ち、もう吸えねぇじゃねえか、クソヤロウ」
投げた鞄と吐き捨てたタバコを拾い、タバコを携帯灰皿に捨てると、彼は学校へと歩き出した。
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