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体育の授業が終わり教室に生徒が戻ってきた。
もう昼休みだ、着替え終わった生徒からお昼を食べている。
お弁当を広げるもの、購買に走るもの、早弁してすでに遊んでいるものと様々だった。
忍はというと、制服に着替えると購買に向かう。昼はいつもパンだった。
購買の前は人が賑わっていた。パンは早い者勝ちである。人気の高いパンは、すぐに無くなってしまう。
忍は適当にパンを二つチョイスした。お金を払い、自動販売機で缶コーヒーを買うと、彼はその場を離れた。
屋上、生徒は立ち入り禁止であったが、忍は晴れていれば、いつもそこで昼を食べていた。タバコも吸えるし、昼寝もできるからだ。
忍はパンをかじる。今日はメロンパンとコロッケパンだ。
パンで渇いた口を缶コーヒーで潤す。そんなことを繰り返すうちに、あっという間に二つのパンを平らげた彼は、タバコに火をつけた。
ふーっと、大きくタバコの煙を吐き出すと、朝のことを思い出す。
確かに怪しい格好だった。そして、ついて来いと言っていた。彼らは間違いなく俺を拉致しようとしていた。
「なんでだ?」
しかし、その理由が解らなかった。仮に秋子を誘拐した犯人が彼らだとしたら、何のために自分をまた狙うのか?
身の代金目的なら二人目を狙う必要がない。体目的なら、男を狙うはずない。
「わからん、探し出して直接聞くか」
忍は朝の二人を探すことにした。見つかるかわからないが、じっとしていることもできない。タバコを吸い終わると、彼は教室に鞄を取りに行った。
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