第1話~奪われた日常

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体育の授業が終わり教室に生徒が戻ってきた。 もう昼休みだ、着替え終わった生徒からお昼を食べている。 お弁当を広げるもの、購買に走るもの、早弁してすでに遊んでいるものと様々だった。 忍はというと、制服に着替えると購買に向かう。昼はいつもパンだった。 購買の前は人が賑わっていた。パンは早い者勝ちである。人気の高いパンは、すぐに無くなってしまう。 忍は適当にパンを二つチョイスした。お金を払い、自動販売機で缶コーヒーを買うと、彼はその場を離れた。 屋上、生徒は立ち入り禁止であったが、忍は晴れていれば、いつもそこで昼を食べていた。タバコも吸えるし、昼寝もできるからだ。 忍はパンをかじる。今日はメロンパンとコロッケパンだ。 パンで渇いた口を缶コーヒーで潤す。そんなことを繰り返すうちに、あっという間に二つのパンを平らげた彼は、タバコに火をつけた。 ふーっと、大きくタバコの煙を吐き出すと、朝のことを思い出す。 確かに怪しい格好だった。そして、ついて来いと言っていた。彼らは間違いなく俺を拉致しようとしていた。 「なんでだ?」 しかし、その理由が解らなかった。仮に秋子を誘拐した犯人が彼らだとしたら、何のために自分をまた狙うのか? 身の代金目的なら二人目を狙う必要がない。体目的なら、男を狙うはずない。 「わからん、探し出して直接聞くか」 忍は朝の二人を探すことにした。見つかるかわからないが、じっとしていることもできない。タバコを吸い終わると、彼は教室に鞄を取りに行った。
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