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忍は朝の公園に来ていた。まだ二人組がいるとは思わないが、何かしら手がかりが見つかるかもしれない。
しかし、そんな淡い期待も虚しく、手がかりは何一つ見付けられなかった。
「さて、どうしたものかな」
忍はベンチに腰を下ろすと、タバコをくわえた。くわえたタバコを上下に動かしてみる。
次はどうするべきか、彼は考えていた。探し出すにしても、情報が少なすぎる。闇雲に探し続けても、見付けられないだろう。
相手は自分を拉致しようとしていた。このまま待っていれば、また来るだろうか。あるいは病院に行けば、運ばれているかもしれない。
忍はタバコに火を付けようとした。だが、何度やってもライターがつかない。
「ん?ガス切れか?」
ライターを振ってみる。それでも火は付かない。諦めた彼は、ライターをポケットに戻すと、人差し指をタバコに近づけた。
ぼぅと指先が赤く光る。すると指先から火が出て、タバコに火を付けた。
彼は特殊な力を持っていた。火だけではない。水を出し、更にそれを凍らせる事も、雷を発生させ、それを使って電気とする事も、風を起こす事も、彼にとってはごく普通にできる事だった。
この力は、気がついたら使えていた。特に訓練もしたわけではないのだ。
しかし、彼はこの力を、誰に見せびらかしもせず。無駄に使う事もなかった。
タバコを吸い終わると忍は、病院に向かった。大きい病院を順に回るつもりだ。見付けられる可能性は低いかもしれない、だが、待ってはいられなかった。
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