第1話~奪われた日常

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市立病院、近隣で一番大きな総合病院である。仮に救急搬送されるとしたら、ここである可能性が一番高い。 自動ドアをくぐり総合案内を通り過ぎる。病院内には沢山の人が溢れていた。 「やっぱ探しきれねーか」 ある程度は予想していた。やはり人が多すぎる。この中から例の二人を探すのは厳しい、なんせ彼らの素顔を知らないのだ。忍は一度病院を出ることにした。 そして忍は考えていた。人気の少ない所に行った方がいいのではないか、と。そもそも拉致をしようとしているのだ、人が見ている前で、そんなことをする馬鹿がいるはずがない。 それに、もしかしたら他に仲間がいて、既に自分を狙っているかもしれない。 「やってみるか」 忍はタバコをくわえて歩きだす。病院から駅に向かう道の一つに人通りの少ない道がある。 この町はもともと山が多かった、それを無理矢理開拓したため、所々山道が残っているのだ。そこなら人が少ない。 大通りをそれ小道に入り込む。住宅地を抜ければ、そこには人気のない静かな道が続いていた。 「ビンゴか?」 しばらく歩いて忍は立ち止まり、振り向いた。 そこには男が三人立っていた。その格好は朝の二人組と同じだ。 「探してんだろ?俺が神夜 忍だぜ。」 「わざわざ誘ってくれたのか、ということは、付いて来る気はないようだな。」 三人のうちの一人が答えた。 忍は鞄を置き、学ランを脱ぐ。ファイティングポーズをとったのが質問への答えだった。
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