第1話~奪われた日常

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忍は車に乗っていた。運転はさっきのリーダー格の男だ。 「で、彼女は無事だろうな?」 首筋にスタンガンを突き付けながら忍が言う。 「ああ、間違いない。彼女の無事は保証しよう」 男が答える。保証ねぇ、忍は呟きタバコをくわえた。 20分程車を走らせ、あるホテルの前に停めた。 「ここだ」 そのホテルを指差し、忍に降りるよう促す。車のキーをボーイに預けると、男は先に歩き出した。その後ろを忍がついて行く。エレベーターに乗ると13階のボタンを押した。 「ずいぶんといいとこに拉致ったもんだな」 そこはある程度名前の通ったホテルだった。 13階です。機会の案内音声とともに、エレベーターが止まり、ドアが開いた。男がまず降り、忍が続いて降りる。 「この部屋だ」 1306とかかれたドアの前で男は立ち止まる。持っていたカードキーを差し込むと、がちゃりと鍵が開き、男はドアを開けた。 「ご苦労さん」 後ろからついてきた忍は、男に声をかけ、そのままみぞおちにパンチを見舞った。不意をつかれた男は、その場にうずくまってしまう。 「お前だけ殴られないのも不公平だろ?」 苦しむ男を片目に忍は奥へと進んで行った。 そこには逃げられないように縛られた秋子と、それを見張る二人組の男達がいた。そう、朝の二人組だ。 「な、どうしてお前がここに?」 忍に気がついた男が驚いて言う。 「あ、神夜君」 遅れて気がついた秋子は今にも泣き出しそうだった。
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