第1話~奪われた日常

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「おはよー!」 「おう、おはよ!」 あちこちに元気な声が聞こえた。何人いや、何十人もの学生が歩いている。 わいわいと賑やかな列が、駅と学校を結ぶ道をぞろぞろと続いていた。 「また同じクラスだといいね!」 2049年4月5日 今日は高校の始業式だった。 その列の最後尾にいる少年は、自動販売機の前で立ち止まると、ポケットから小銭を取り出し、缶コーヒーを買った。 ガコン!という音とともに取り出し口に缶コーヒーが落ちてくる。 その缶コーヒーを取り出すと、少年は近くの公園のベンチに座り、缶コーヒーを開けた。 「たく、めんどくせーな」 心底面倒くさそうに呟くとコーヒーを飲み、胸ポケットからタバコを取り出し、それをくわえた。ライターで火を着けるとぷかぷかと白い煙りが浮かぶ。 「始業式だし、帰っちまうかな」 タバコをふかしながら、彼はそう呟いた。
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