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校門のあたりには、多くの生徒が集まっていた。新入生を部活に勧誘するためである。午後は入学式があるのだ。
公立高校ではあるが、部活動は活発であった。
そのため、どの部活の勧誘も活発なのだ。
わいわいと騒がしい集団の中を、忍が両手をポケットに突っ込んで歩く。その後ろに秋子が自転車を押してくっついていた。
「神夜君、運動神経いいのに部活入ってないんだよね」
確かに、運動神経抜群で野球もサッカーもなんでもこなす忍だが、部活動には参加していない。
そもそも面倒なことが嫌いである。努力やら根性やらが忍は嫌いだった。
「ああ、面倒だからな」
「なんか、もったいないなぁ。それに…」
秋子は応援したかった、という言葉を飲み込んだ。そうか?と忍は笑う。
「じゃあ、私こっちだから。また、明日ね」
朝の公園につくと秋子は自転車にまたがる。
「ん、明日な」
自転車をこぐ秋子を見送ると、忍はポケットからタバコをとりだし、くわえた。
ライターで火をつけると、肺に思い切り吸い込み、そして煙を吐き出す。
帰るか、と一人呟くと駅へと歩きだした。
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