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忍はアパートについていた。階段を歩くとカンカンと音がする。
203と書かれたドアの前に立ち止まると、ポケットから鍵を取り出し、ガチャッとドアを開けた。ここが彼の家である。
やや広めのワンルームにはベッドが置いてあるが、他にはたいしたものは見当たらない。なんとも落ち着いた部屋である。いや 、むしろ殺風景であった。
カバンを投げ捨てると制服から楽な格好に着替えた。ベッドに腰を下ろしタバコに火を付ける。
「バイトまで時間あるな、少し寝るか」
タバコを吸い終わると、ベッドに横になった。
携帯でアラームをセットすると目を閉じた。
そう、彼は一人暮らしだった。両親はもうこの世にはいない。
事故で両親を失った時、親戚の家に引き取られた。当時10歳だったろうか?今はその親戚の家を出て一人で暮らしていた。
叔父も叔母も良くしてくれていた。だが、叔父と叔母に迷惑をかけたくなかったし、気を使いたくもなかった。
一人っ子だったため、遺産とバイト代でなんとかやっていけている。
忍は静かに寝息をたてていた。
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