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バンッという音と共に隣の部屋が勢いよく開いた。
「あ、神谷さん」
出て来たのは俺の部屋の隣の住人、神谷洋史(カミヤヒロシ)さん。
三年生でありながらも、俺たちによくしてくれるセンパイである。
…まぁセンパイなんて呼んだこと一回も無いけど。
「っつーかホント何君たち?朝から夫婦漫才すんのやめてくんない?近所迷惑にも程があるんだけど。てか肉村くんがちゃんと杉田くんを調教しとかないからこんな事になるんだよ」
「オイ誰が肉村だテメー」
「夫婦漫才!何て素晴らしい響きなんだ!!」
「杉田黙ってろ…」
「でも調教か…いや!中村に調教されるならいいかも…!」
「テメー何変なこと考えてんだ殺すぞ!」
「大体、毎っ日の様にそんなやり取りを外でされてこっちも嫌なの!僕の少ない睡眠時間がますます少なくなるじゃん」
「どーせアンタ授業寝てんだろ?」
「いつもはそれで平気なんだけどね!今日はムリなの!今日は…!!」
その時、神谷さんの部屋から物音が。
『神谷さ~ん…?どこいっちゃったんですか~?』
その声が聞こえてきた瞬間
「「あぁ……」」
杉田と二人で納得してしまった。
「チッ!変なときに起きやがって…」
ブラックひろしが後臨した。
「あ!なーんだここにいたんですか!」
神谷さんの部屋からひょっこりと出て来たのは、二年生の小野大樹(オノダイキ)さん。
学校の中でも1、2を争う程の気持ち悪さを誇っているこの人が、何故か神谷さんの恋人を努めている。
顔はカッコよくてハンサムだって評判なのに…もったいない……
大体なんでシャツのボタンを第3まで開けてんだこの人は。
さらに彼にはいらないオプションがもれなく付いている。それは…
「んもー起きたら隣にいないんですもん。誘拐されたんじゃないかって心配したんですよー?」
「ホント朝から顔が気持ち悪い。そのニヤニヤした顔をこっち向けないで。大体ここ寮なんだから誘拐なんてある訳ないじゃん。バカだね小野くん☆」
「うわーバカって言われたぁ!でも幸せwww」
「うわっホント気持ち悪っ」
…彼は気持ち悪いという本質に、さらにドMが入っているからタチが悪い。
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