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「神谷さんに中村、小野に…えーと、そこで倒れてるのは杉田…か?」
「何あんげんくん?今中村くんと勝負するんだから邪魔しないでくんない?」
反対側からやってきたのは二年生の安元高次(ヤスモトタカシ)さん。決して“アンゲンコウジ”ではない。
黒渕メガネの光る彼は、今いるこの5人の中では『最後の良心』なんて呼ばれているほどいい人である。
「朝から何で勝負なんですか…てかもう時間あんま無いですよ?今8:00ですし」
「「え゙っ!!?」」
「え゙じゃないですよホラ」
安元さんがぐいっと腕を出して腕時計を見せてくれた。
時間はきっかり8:00を指している。
「あ゙ー!!!またちょっとしか寝れなかったーーーー!!どーしてくれんの中村くん!!?」
「いや俺のせいじゃないし!もとはといえば杉田のせいだし!!そうだ!全ては杉田のせいだ!!」
そう!全てはこいつが俺の部屋に朝から来たから始まった騒動だ!!
「てっめー杉田どうしてくれんだコノヤロー!また20分無駄にしたー!!」
「なっ中村?杉田の首をしめるのはやめろ?な…何か白目になってるから、白目になってるから!とりあえずアンタら着替えてないんだから早くして!ホラ小野もさっさと起き上がれって!!」
「チッ…ひとまず勝負はお預けね」
「いつか絶対打ちのめす…!」
「ふふん。楽しみにしてるよ☆」
そういって俺と神谷さんは自分の部屋に帰っていった。
「神谷さーん…ちょっ、オレの荷物神谷さんの部屋ん中なんだけど?神谷さん?神谷さーん?ひろしー??」
「な…中村ぁ……」
「……えーと…何この状況……?」
廊下には倒れて呻いているバカと、部屋のドアに向かい必死に話しかけるハンサムと、この場に運悪く来てしまった可哀相な最後の良心が取り残されていた。
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