†そして世界は色を変えた

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~Side N~ ズルッズルッズルッ 「な…中村ァ…」 今日は部活がないのでボロ雑巾の様になった杉田を引きずりながら帰路についていた。 朝から昼までこいつに今日は振り回されたからな… しかしいつもは自分が振り回している事に気が付いてククッと少し笑う。 「中村?どうした?俺との一日を思い出してのろけてるのか?」 「黙れ殺すぞ」 「相変わらずのツンデレ具合だな…」 まぁそんな所が可愛いんだが などと言う言葉に少し照れたりしてしまったのは黙っておく。 …そういえば… 俺、杉田とどうやって出会ったんだっけ…? 何か分かんないけど急にそう思った。 杉田に出会ったのは…いつだっけ……あぁ、確か2年前の夏だったっけ…… “まもなく電車が発車します” ダダダダダッ! プシューゥ 「あ゙…」 俺はその日ガンプラを買いに行くためちょっと田舎から出て都会へ向かおうとしていた。 何しろ限定品。高いのはもちろんだが朝早くから行かなければ売切れてしまう。 それなのに電車に逃げられた。 若干苛立ちを覚えた俺は夏の陽射しで暑くなったホームで電車を待つ事になった。 するとコツ、という音が隣で聞こえる。 普段の俺なら特に何も思わないが、暑かったからだろうか…何げなく隣をちらりと見た。 だが何故かその時、俺はそいつをじっと見てしまった。 歳は俺より少し上くらい。身長は俺より高いのに、俺よりも少し細くて(この時はまだ俺も痩せていた…)しかも色白。 そう、まさに“モヤシ”という表現が似合いそうな男だった。 …けど 目がとても印象的だった。 黒い瞳がすぅーと遠くを見据えていて、このクソ暑いのに涼しげで柔らかな表情をしていた。 (はぁー、暑いのによく涼しそうにしてられるなー) …なんて思っていたらソイツがこっちを見てきて目が合った。 .
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