†そして世界は色を変えた

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~Side S~ ベチンッベチンッベチンッ 「な…中村ァ…」 今日は中村も俺も部活が無かったので、久しぶりに一緒に帰る事になった …後ろを掴まれた状態で引きずられてはいるがな… しかも手が地面にベチベチ当たって痛い… …でもまぁ…これも中村が可愛いから許せるんだがww あぁ…俺ってどんだけ中村バカ? そう改めて自覚した時、俺の心を見透かした様に中村がククッと笑った 「中村?どうした?俺との一日を思い出してのろけてるのか?」 「黙れ殺すぞ」 「相変わらずのツンデレ具合だな…」 まぁそんな所が可愛いんだが そう言ってちらりと中村の方を見ると、案の定中村の耳は真っ赤に染まっていた 多分顔も真っ赤に違いない。見えないけど。 夕日のせいじゃない。中村は照れるといつも耳やら顔やらが赤くなる 本人はうまく隠せているって思ってるみたいだが…バレバレ。 そんな所がまた愛おしくて中村をじぃっと見る …あれ…そういえば俺、中村とどうやって出会ったんだったっけ?? …何で今さら? と自分で不思議に思ったが、思ってしまったらもう引き返せない 中村との出会いは今でも鮮明に思い出せるそう…あれは確か二年前の夏の事だ…… 俺はその日、限定品のあるモノを買いに駅へ向かっていた。 …まぁそのあるモノとはガンプラなんだが… 何せ限定品。朝早くから行かねば売切れてしまう なので俺は優雅に空いている電車で颯爽と目的地に行く…予定だった。 が、この日俺は珍しく朝寝坊をした。 (あー…これじゃあ満員電車かな…ホームも人とかいなさそうだし…) そんな事を思いながら、せめてホームだけでもと颯爽とホームへ降り立った。 そこには既に人がいた。 そして俺の目は一瞬にして奪われる。 歳は俺と多分同じくらい。身長は俺よりやや小さめだが、俺より体格はしっかりとしている さらりとした黒髪は風になびき、健康的な色の肌を緩やかに叩く。その間から覗く漆黒の目は怪訝そうだが何処か色気があって美しい… そう、まさに“一目惚れ”。 一瞬にして俺はこの人、この男に惚れてしまった。 .
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