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~Side N~
『何やってんですかアンタ?』
その言葉と共に痴漢の手が消えた
『痛っ!わっわたしは何も…』
『何もしてない訳ないでしょう?俺は見ていたんですから。皆さーん!この人痴漢でーす!』
車内がざわっとどよめいた
その時
プシューゥ
『あ!待てこの痴漢!!』
電車が止まり、ドアが開いた。
どうやら痴漢は逃げたらしい…
そんな事よりも、俺は痴漢の魔の手から開放された事の方が大切だった
(た…助かったぁ~!よかった!ホント触られなくてよかった…!)
『チッ…逃げ足の早い奴め…あっ大丈夫ですか?』
声をかけられた。多分さっき助けてくれた人だろう。顔を見てないから分かんないけど。今も下を向いてるから見えないし。
「あっありがとうございます…」
そう言って顔を上げた
そしたら
「ぁ……」
あの人だ。さっき駅で見たあの人だ。
まさかまた遭遇するとは思ってもみなかったので少しびっくりした
そしてまさか助けられるとは…
「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ」
そう言って優しくふわりと俺に笑いかけるもんだから、俺安心しちゃって…
ツーゥ
「…え?ちょっ大丈夫ですか!?」
安心して俺は泣き出してしまった
恥ずかしい…もうガキじゃないのにこんな事で泣き出して…
まだこの時俺は13才(…14だったかも……)。全然子供だと言うのにいっちょまえにプライドだけはあった…と思う←記憶曖昧
「うっ…えっく…うぅ…」
「だっ大丈夫ですから!もう痴漢はいませんからね?ほら大丈夫大丈夫。」
そう言って頭をよしよしと撫でられる
(…久しぶりだな…頭撫でられるの…)
そう思いながら俺の意識はまるで綿毛の様に飛んでいった…
……なんか…優しくて暖かい…
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