†そして世界は色を変えた

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~Side S~ 俺は痴漢の手をガッと掴んだ。 …ちょっと力が入りすぎてギリギリいったが。 『痛っ!わっわたしは何も…』 (…こんの痴漢野郎…この期に及んでまだシラをきるつもりか!) 俺は若干キレた。 『何もしてない訳ないでしょう?俺は見ていたんですから。皆さーん!この人痴漢でーす!』 途中から大声で叫んだので、車内中がどよめきたった。 (よし…このまま一気に体裁を…!!) 俺は犯罪者への一歩に自ら足を踏み出した。 …が プシューゥ 電車がホームに到着した。 その瞬間、痴漢はガッと俺の腕を叩き人込みの中へ消えていった。 「あ!待てこの痴漢!!」 そう叫んでも相手が戻ってくる訳もなく、俺は痴漢を取り逃がしてしまった。 「チッ…逃げ足の早い奴め…あっ大丈夫ですか?」 優しく、なるべく丁寧に相手に声をかける。 「あっありがとうございます…」 美人さんがゆっくりと顔を上げた 「ぁ…」 顔がきょとんとした顔になる。 (まぁそりゃそうだろうな。だってさっき微笑んできた変な奴(自覚はあった)が助けてきたんだから) でも本当に助けられてよかった… 「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ」 そういってまた美人さんに優しく微笑みかけた。 ツーゥ 「…え?ちょっ大丈夫ですか!?」 彼は目から雫を零していた。 よほど恐かったんだろう…少し身体が震えている 「うっ…えっく…うぅ…」 鳴咽をもらしながら泣く彼は、美しいのはもちろんだけど… (すっげー可愛い…) なんて変な事考えちゃって、慌てて美人さんを慰める事にした。 「だっ大丈夫ですから!もう痴漢はいませんからね?ほら大丈夫大丈夫。」 とりあえず頭を優しく撫でてみる 大体の人はこれで心が落ち着く。 そしたら少しして美人さんが俺の胸に倒れ込んできた。 「ぅおっ!」 (うわわわわわわ!!何だ!何だこのイベント!?そんな、いくら助けたからってここまで…!!) …とか一人でテンパってたら スー…スー… 美人さんは眠っていた。 それはもう白雪姫なんか一発で打ちのめせる位可愛いくて。 とりあえず起こそうと思ったけど、あまりに寝顔が可愛いもんで俺はそのまま寝かせてあげる事にした …でもこの体制って… 「危ない…よなぁ……」 .
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