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部屋に通されると、圭の父親の姿はなかった。 『あれ、親父は?』 落胆気味で圭はおばさんに聞いていた。 『お父さんね、急に出張で出かけたのよ。明日には戻るみたい。』 『なんだよ、せっかく来たんに。』 圭は父親がいないと分かると、ソファーにドカッと座った。 『しょうがないでしょ~仕事なんだから。りなちゃん座って?』 立ち尽くしていた私に声をかけた。 おばさんは私に紅茶を出してくれた。 部屋にアールグレイの紅茶のいい匂いが漂っていた。 『さっきね、ケーキ買ってきたのよ!あの曲がり角のケーキ屋さん美味しいのよ?』 『そんなもんばっかり食ってるから太るんだよ。(笑)』 圭はおばさんに笑いながら言った。 『やーね!』 おばさんは笑顔で私にそう言いながら、私に綺麗なお皿の上にモンブランをのせてくれた。 私は一部始終、呆然としていた。
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