優しい神様

2/2
前へ
/260ページ
次へ
ある晴れた日、公園の大きな木の下で空を見てたら神様が私の目の前にいたの。 ビックリしてる私を見て神様はふんわり笑って、言ったの。   「君に一つ力を与えよう。どんな力がいい」   少し考えて、私はこう言ったわ。 「殺したいって思った人を殺せる力をちょうだい」   物騒だと思うけど私の彼氏の周りには、悪い虫がいっぱいいるからそれを消したいの。   私の願いを聞いた神様は私の頭に触れた。 そしてすっと消えてしまった。   本当に力貰えたのかしら。 不安に思っていたら彼につきまとう悪い虫が向こうの道路を歩いてた。   車にひかれて死ねばいいのに。 と思ったら凄い音の後悪い虫が本当に車にひかれた。   真っ赤に染まった悪い虫。 すごい、力は本当なのね。 この力があれば私はなんでも出来るわ。 そうだ。 この力を使って私と彼だけの世界を作ろう。 誰にも邪魔はさせない二人だけの世界。 ああ、なんて素敵なの。   さっそく私は人を次々殺していった。 最初は罪悪感があったけど、今はなんとも思わなくなった。   ふと、彼が私を呼ぶ声がした。 振り向くと彼が立っていた。   私は彼のもとへ走った。 そして抱きついた。   ズブッ。   お腹になにか刺さった。 ポタポタと音がする。なにがおこったのかわからず私は彼の顔を見た。   そこには神様の狂喜に満ちた笑顔があった。 薄れてく意識のなか、 「こんなに楽しい遊びをありがとう」 と言いながら狂ったように笑う神様の声が聞こえた。   神様の後ろには愛しい彼の、首があった。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加