九話 デート

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 二人で歩く病院への帰り道。 「さっきの話だけど」 「さっきの?」 「「好き」って、言ってもらうのは別にして、病気は治ると思うんだ」 「なんで?」 「信じる力はすごいんだって」 何の根拠もない言葉。 だけど、不思議とそんな気がしてくる。 彼女の言葉は、僕に勇気や元気を与えてくれた。  「あたしが治るって信じる。 だから、きっと治るよ」 「…そんなんで・・・」 言い掛けた僕に、彼女は僕にキスをした。 僕は、思わず手で突き飛ばしてしまいそうになる。 それを自ら下がって回避した。 「おまじない。 もっと力を抜いて、リラックスすればだいじょぶだよ。 あたしに気を遣う事ないし」 僕は黙って頷く。  「もう着いちゃったね」 気が付くと、もう病院が目の前だ。 ホントに時間が経つのが早く感じる。 「じゃまた、明日仕事帰りに寄るね」 「…来なくていいから」 俺は最後までこれか。 「なんてったって、暇ですから。 おやすみなさい」 彼女の事をどんどん好きになってく自分がいた。
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