十話 天の邪鬼

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 ここは? 誰も居ない部屋で目を覚ます。 そうか。 麻酔をうたれたんだった。  体を動かそうとしたが動かない。 縛り付けられてる? 僕がヒモを外そうとしていると両親が部屋に入ってきた。 「耕太、大丈夫?」 母が心配そうに僕に声を掛ける。 「…大丈夫だけど」 モウロウとした意識の中、僕は答えた。  「何やってるんだ! 耕太」 「お父さん! 怒鳴らないで」 何を怒ってるんだ? 「…母さん、これ解いてくれない?」 「先生が、まだ駄目だって」 「…いいから解けよ」 俺は母さんになんて口聞いてんだ? 意識もしてないのに病気が出るなんて・・・。  「耕太!」 「お父さん! 耕太は気にしないでいいからね」 母は、叱ろうとする父を止めた。 「ご・め・・ん」 いつの間にか、僕の体は普通に話すのも難しくなっていた。  「お父さん、耕太も目が覚めたみたいだし、もう行こっか」 「まだ話して・・・」 「じゃ、また来るね」 母は、父を部屋の外へ連れ出した。 それにしても、変な事を言わないようにするだけで、ひどい頭痛に襲われる。 僕の身体は、どうなっちゃったんだ・・・?
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