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母が一人、病室に戻ってきた。
「…母さん、早く解いてよ」
「ごめんね。まだ・・・」
「…いいから!」
僕は、強い口調で言って、ベッド上で暴れる。
母は哀れむような目で僕を見る。
「もう少しの辛抱だから」
「はぁ・・はぁ・ご・めん」
僕は、頭痛に堪えながら謝った。
「いいのよ。
無理しないで。
病気に委ねていいからね」
そうしなければ、身体が保たないかもしれない。
「寝てる方が、何も考えないで済むかもよ。
んじゃ、部屋の外にいるから」
母の言う通り、今は寝よう。
目を閉じ、何も考えずに・・・。
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