十話 天の邪鬼

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 母が一人、病室に戻ってきた。 「…母さん、早く解いてよ」 「ごめんね。まだ・・・」 「…いいから!」 僕は、強い口調で言って、ベッド上で暴れる。  母は哀れむような目で僕を見る。 「もう少しの辛抱だから」 「はぁ・・はぁ・ご・めん」 僕は、頭痛に堪えながら謝った。 「いいのよ。 無理しないで。 病気に委ねていいからね」 そうしなければ、身体が保たないかもしれない。 「寝てる方が、何も考えないで済むかもよ。 んじゃ、部屋の外にいるから」 母の言う通り、今は寝よう。 目を閉じ、何も考えずに・・・。
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