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その頃、僕は夢の中にいた。
「今、お前は幸せだと言ったな」
また、顔の見えない相手が、僕に話し掛けてきた。
「言いました」
「だが、その幸せが続くとは限らない」
「でも、彼女が言ってくれたんです。
「好き」って、言ってもらうのが夢だって」
「口では、いくらでも言える」
「・・・」
なおも、その人物(?)が続ける。
「今の幸せを永遠のものにしたくないか?」
「出来るなら・・・」
「なら、俺がお前を殺してやろう」
「え!?」
顔の見えない相手は、どんどん近付いてくる。
怖い。
でも、体が動かない。
「死にたくない」
「死ねば、幸せを失う事に怯える必要もなくなる。
死ぬのは一瞬だ。
怖がる事はない」
「助けて!
母さん!
父さん!
まだ、死にたくないよ!」
夢の中の声は外に漏れていた。
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