十話 天の邪鬼

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 「よう!」 大将は、父から連絡を受け、病院に駆け付けた。 「大将。 お店の方は?」 「まぁ、暇だったんでな」 暇だと言う大将は、店から慌てて飛び出してきたような格好をしている。  「心配してきてくれたんですか? ありがとうございます」 「バカ言ってんじゃねぇよ! 暇潰しだよ」 母が礼を言うと、大将は照れくさそうにした。  「それより、耕太はどうなんだ?」 「まだ寝てます」 「そっか」 「・・・」 「何二人して、シケた面してんだよ」 大将なりの励まし方。  「そんなんじゃよ、耕太が余計に気ぃ遣うだろうがよ」 「そうですよね」 二人は、少し元気を取り戻した。 「じゃ、耕太の顔でも見てくか」 部屋のドアに手をかける大将。 父と母がそれを同時に止めに入った。 「それとこれとは」 今は、誰とも会わない方がいい事を伝えた。  「いやいや、寝てんなら平気だろうよ」 「・・・それもそうですね。 くれぐれも起こさないように」 「分かってるよ」 そう言って、大将は部屋に入った。
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