十話 天の邪鬼

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 夕方頃になると、昨日の約束(?)通り香菜恵さんが病院に来た。 同部屋だった患者さんから個室に移った事を聞き、彼女は慌てて僕のいる病室へ走った。  「はぁはぁ、こ、耕太さんは?」 息を切らす彼女。 母はその彼女の頬を平手でうった。 「何やってんだよ?」 慌てて父が止めに入る。 また、落ち着いていた母の心が乱れた。 「あなたのせいで耕太は・・・」 「あたしの・・・?」 「聞こえるでしょ? 耕太が苦しんでる声が」 目を覚ましていた僕は、悲痛な叫び声を上げ、ベッドの上で暴れていた。  「耕太さんに会わせて下さい」 「もう、耕太には会わないで!」 「おい! 言い過ぎだぞ」 父は、母に叱咤する。 「香菜恵さんも、ちょっと待合室で待っててもらえるかな」 「でも・・・」 「いいから」 父は彼女に軽く頷いて見せる。 「わかりました」
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