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夕方頃になると、昨日の約束(?)通り香菜恵さんが病院に来た。
同部屋だった患者さんから個室に移った事を聞き、彼女は慌てて僕のいる病室へ走った。
「はぁはぁ、こ、耕太さんは?」
息を切らす彼女。
母はその彼女の頬を平手でうった。
「何やってんだよ?」
慌てて父が止めに入る。
また、落ち着いていた母の心が乱れた。
「あなたのせいで耕太は・・・」
「あたしの・・・?」
「聞こえるでしょ?
耕太が苦しんでる声が」
目を覚ましていた僕は、悲痛な叫び声を上げ、ベッドの上で暴れていた。
「耕太さんに会わせて下さい」
「もう、耕太には会わないで!」
「おい!
言い過ぎだぞ」
父は、母に叱咤する。
「香菜恵さんも、ちょっと待合室で待っててもらえるかな」
「でも・・・」
「いいから」
父は彼女に軽く頷いて見せる。
「わかりました」
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