十話 天の邪鬼

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 彼女は父の言葉に従い、待合室で待っていた。 しばらくして、彼女の元に父が現れた。 「さっきは、ウチのやつがすみません」 「いえ・・・」 「あいつは、耕太の事となると目の色変わるんだ」 「・・・」 彼女には、さっきの母の言葉が頭にあった。  「昔、耕太をあんな風に産んでしまった事を嘆いてたんだ。 その分、あいつは耕太を大事に育ててきた。 さっきも、耕太を守りたい一心で出た言葉なんだ。 だから、許してやってくれないか?」 「いえ、全然大丈夫です。 でも、お母さんが言った事は間違ってないかなって」 「どういう事?」 「もし、耕太さんがあたしとずっと一緒にいたいって思ってくれてたら・・・」 「そういう事か」 僕が死のうとする理由。 彼女と長く一緒にいたい。 僕が生きたいと思う気持ちの裏返し。  「会わせてやりたいが、耕太があんな状態だ。 傷付けるような事を言うかもしれない。 耕太もそんな状態で会いたくないだろう」 「あたしは全然構いません。 少しだけでいいんです」 二人が話してると、母が二人の元に走ってきた。 それは、僕自身に何かあった事を物語っていた。
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