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「耕太!」
「大丈夫か!?」
母と父が僕の手を握る。
「もしかしたら・・もう・・・。
今のうちに・・言わなきゃ。
今までありがとう」
僕の言葉で話せる今のうちに・・・。
「何、バカな事言ってんの!」
「母さん、泣かないでよ」
父は決心した。
「これから、手術を受けよう。
な~に、簡単な手術だ。
すぐに良くなる」
「香菜恵さんに・・会いたいな」
父は母に目配せする。
母も僕の願いならと彼女を部屋に招き入れた。
「耕太さん!」
「来て・・くれてたんです・ね」
その時初めて、僕は心からの笑顔になれた気がする。
もう少し早くこうなれてたらな・・・。
「少しだけ・・二人にさせて・くれる?」
「分かった」
「ですが、長谷部さん・・・」
「耕太に少しの時間を下さい」
父が、母と医師らを連れ部屋を出た。
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