パターン2

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 三人は急いで病室に向かう。 「少しでも可能性があるなら、手術するべきだと思うか?」 父は手術するかどうかを彼女に委ねようとした。 「はい! 助かるって信じてますから」 不意の質問にも関わらず、彼女は力強く応えた。  「それにしても、どうして異変に気付けたんだ?」 「急に静かになったの。 どうしたのかと思って部屋に入ったら、耕太がグッタリしてて」 「何で急に?」 「自分で呼吸を止めてたの・・・」 しかし、息を止めても途中で意識を失うため、死ぬ事は出来なかった。 二人は息を飲んだ。 どうやったら、その衝動を止められるのか?  そう考えた時、父と母には二つの選択肢が浮かんだ。 一つは、死にたいと思わせる方法。 もう一つは、可能性の低い手術に賭ける方法。 どちらを選ぶも、苦渋の選択だった。 しかし、この時彼女には全く違う一つの考えが浮かんでいた。  部屋の前まで来ると、彼女は医師を押し退け、部屋に入って閉め切った。 「何してるの!? 早く開けなさい!」 「お母さん。 あたしに、耕太さんと話をさせて下さい! 治す方法を思い付いたんです!」 「何言ってるの!?」 「少しでいいんです! お願いします!」 父は部屋を開けようとしていた母の肩に手をやる。 「任せてみようじゃないか」 父は、彼女の力強い言葉に賭けてみようと思った。 「・・・五分だけ待ってあげる」 「ありがとうございます!」
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