パターン2

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 気を失っていた僕が目を覚ますと、目の前に香菜恵さんの顔があった。 「…何、手握ってんだよ!」 「照れなくてもいいのに」 彼女の優しい笑顔に包まれる。 「…サッサと出てけよ!」 しかし、今の僕には病気に逆らう力はない。  「耕太さん。 聞いて」 「…話す事なんてないんだよ!」 彼女はそのまま続けた。 「あたしは耕太さんの事が好き」 「…俺は嫌いだ」 「この先、何があっても耕太さんと一緒に居たいの。 だから、死のうとしないで」 「…そんなもん約束出来るわけないだろ!」 「あたしを信じて!」 無理だ。 今の僕には・・・。  「…分かった。 信じるよ。 だから俺の事も信じて、これを解いてくれないかな?」 駄目だ! 何するか分からない。 「分かった」 彼女は紐の結びを解いた。 次の瞬間、僕は彼女の首を首を絞めていた。 「耕・太・・さん、・・止・・めて」 「これでも、好きだって言えるか?」 彼女は抵抗しようとした自分の手を下ろす。 「あたしが・・死んでも、耕太さんが・・生きてて・くれるなら・・いいよ」 「…抵抗しろよ!」 何でそこまで・・・。  「耕太! 何やってんだ!?」 両親が部屋に入ってくる。 「いい・・んで・す」 彼女は、助けようとする父を制した。 「でも、・・もっと一緒に・・居たかった・な」 「…止めろ! もう何も言うなぁ!!」 僕は大声をあげ、彼女の首から手を離し頭を抱える。 そして、そのまま二人は折り重なるようにして倒れた。
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