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物音ひとつしない事に嫌な予感を確信に変えた女性、ナオミ・エアハルトその人は、ドアノブに手をかけた。
「寝てるわね、間違いなく。まったく、あの寝坊助娘ときたら……。アンナ、入るわよ?」
毒混じりの断りを入れ、ドアを開けようとした、その時。
「うっわ、わ!」
ドアが内側に開いた。
それほど勢いよく開いたワケではないが、意表を突かれたナオミは思わず前につんのめる。
ナオミは倒れまいと、反射的にドアを開けた女性にしがみついた。そのおかげで胸に顔を埋めたような格好になる。
「……ふあぁ~ぁ…………。ナオミぃ……なんか用~?」
部屋から出てきた女性、アンナ・マイヤーは、間延びした口調で友人に向かって問いかけた。やや過剰気味な彼女の豊胸の中で、友人の頭が苦しそうにもがいている。
ナオミは『なんか用? じゃないでしょ』とくぐもった声で答えると、ぶはっ、と大げさに息を吸い込みながら胸から顔を引き剥がした。
「時間になっても起きてこないから、起こしに来たのよ。3時間経ったら起こす約束したでしょ?」
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