寝室

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ナオミは、気を抜くと眠りの国へとんぼ返りしそうな友人を引き留めるため、気付けに両の肩をばんと叩くように掴むと、ガクガクと揺さぶった。 「とにかく、まずは洗面所へ行く。着替えるより先に、その寝ぼけ顔と爆発頭をなんとかしてきなさい、ほら!」 そのまま後ろへ回り、背中を押して歩かせようとする。 何せ、もう本当に時間がないのだ。予定の時間はまだかなり先だが、身支度や移動に費やす時間を考えると、あまり余裕があるとは言えない。一刻も早く、準備を整えねば。 ナオミは、はやる心のままに、アンナの背中に当てた手に力を入れる。だが、次の瞬間には、ナオミは再びつんのめっていた。背中を押したと同時に、アンナが身を翻したのだ(寝起きとは思えないほど鮮やかな体さばきだ)。今度はアンナの豊胸にしがみつく事はできず、ナオミは無様にも廊下に倒れ伏してしまう。 「っ、たぁ……。ちょっと、アンナ。何やってるのよ!」 鼻ぶつけちゃったじゃない、と、涙目でアンナを見上げる。
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