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アンナは倒れたままのナオミを見下ろし、ぼりぼりと頭を掻く。そして
「んんぅ……ナオミぃ~、ごめ~ん」
と、頭だけを垂れて謝った。
「まったく……鼻が潰れちゃったわよ」
お嫁に行けなくなったらどうしてくれるのよ、などと文句を言いつつ、ナオミは立ち上がった。
強かにぶつけた鼻をさすりつつ、服をチェックする。多少ホコリがついてはいるが、特に問題はなさそうだ。値の張る外出用の服が破れてなくてよかったと、ナオミは内心でほっとする。
「あぁ~。顔の事もぉそぉなんだけどぉ……」
アンナは立ち上がるのナオミのの前で、何故かばつが悪そうに目を逸らす。なんとなく、とても言いにくそうな様子に、ナオミは再び嫌な予感をおぼえた。
「やっぱり~、今日の予定はぁ、キャンセルするわぁ~」
言いにくそうに、しかし間延びした口調で言い放つアンナ。
その言葉にナオミの思考は一瞬、停止した。
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