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「はいどうどぉ。さぁ着きましたぜっ、ここが神父様の行きたがってた村でさあ。なぁに俺は心優しいから運賃はいらねえからよっ安心して行きな。グッドラック神父!ガハハハハ!」
はあ、そりゃどうも。としか言えなかったな実際。
淡々としてるボクに対し、長旅の間にも、えらく慣れた口調でボクにあーだこーだ言うんだよこのじいさん。
村に行きたがってたボクを、道の途中で拾ってくれたのはありがたかったが、でかい声で延々と自慢に近いことを言われると、やんなるだろ。
何て言うか、嫌みを言われてるわけでもないのにあまりの堂々ふてぶてしさに少しイラッとくるアレに近いかな?
恐らくこいつは、道行く人々を自分の荷車に乗せてやってはガハガハとこうやって言って笑ってやがるんだろうね。
ポジティブ?そいつは傲慢と言うか何と言うか。安易にこいつが次に何を言いたいのかが想像できる分、非常にうっとおしいんだ。
でもまあ、金を取られるよりはありがたいんだけど。
「あぁそいつはどうも。なにぶん私、金欠なものなので。はははっ。」
ボクは男にそう告げて、膝に置いていた黒いクロッシェを頭に被ってさっさと荷車を降りた。
綺麗な村じゃないか。ここでの新しい暮らしに向けて、頑張るよボクは。
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