arrival 到着

4/22
前へ
/346ページ
次へ
だがしかし。考えたがしかし、何かって? 礼の仕方さ。 やはりあれしかないだろうな。 ボクは男のほうに向き直って、深々と頭を下げてこう言ってやったよ。 「貴方に神の御加護を。」 ってな。 非常に神父らしいだろ? それに、それを聞いた白髭は満足したのか。 「んんんっ、何だって!?」 ハハッ、耳が遠いのか? 仕方ないジジィだ、もう一度だけ言ってやるよ。 「貴方に神のごか‥。」 「ワァッハハハハ!!」 ボクが口を開いて頭を下げた途端に、今度は奴は大笑いしながら去って行った。 チクショウ、馬鹿にしやがって。 あの野郎、あんまりにも幸せな人だねって、鼻で笑ってやろうとしたがやめたよ。 奴が幸せならそれでいいじゃないか。ボクは神父なんだから、こういうところで折れないとな。 でもっあーあ。何なんだろうね? 歯に青ノリがついて取れない時のような気持ちだよ。 しかしまあ、気を取り直して行こうかな。 ボクは問題の村へと歩み出した。    
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加