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そのセリフに、ボクはちょっとだけムッときたんだな。
何だかまるで、ボク自身よりもラシアの妖精のほうを期待されてたみたいでさ。
つい、いらつきを混ぜて、いらないことを言ったんだ。
「物好きでなくてすみませんでした。ボクが、お金をかけずに自分の教会を持つには、これしか方法がなかったんですよ。」
文句。
しかし果たして彼女は、神父の苦労話なんぞにに興味があるだろうか?
いや、ないね。
それを聞いた少女は、つまらなそうな表情を浮かべた。
「ふぅん、そこまで欲しい教会かねぇ。まぁ、そこの所は自分で見て判断すればいいよね?それと、もしかして怒ってる?」
「…少し。」
「あちゃ、アタシってさぁスグいらないこと言っちゃうんだよね。しかも自分で言ったのに気付いてないからタチ悪いの。ごめんなさい。」
「いや、大丈夫です。ボクの方こそ、神父なのに心の静養が足りませんでした。許してください。」
「許す、許す。へへっ、じゃあ自己紹介しよう。アタシはここの酒場の娘のシーダだよ。よろしくねー。」
彼女が右手を差し出して来たので、僕も右手を返す。
そのまま握手した。
「どうも、神父です。」
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