a Father 神父

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農家に怪物の退治を頼まれてね。 ボクを含めた複数の神父が、そいつの討伐に向かったんだが、その怪物はゆうに人間の八倍くらいはありそうな、巨大な牛の化け物だったんだな。 巨大な角に、血液みたいに真っ赤な眼をしてさ。 鳴き声だって「モーッ」なんてもんじゃないんだ。 「モ゛ォォーッ」って叫びやがんだよやっこさん。 怖えーだろ?実物を見たらホントに震え上がるさ。 ヤツは狂ったように吠えてたな。ああこれが狂牛病ってヤツか?とかつい放心しちまったよ。それほど凶悪なヤツだったんだ。 あまりにビビって。ボクは撤退を望んだがね。無視された上、必要がなかったよ。 ボクの先輩方は武器を引き抜き、その怪物にさあ、あろう事か嬉しそうに突っ込んでくんだぜ。 ゾッとするよ。 ヤツらはその怪物を『牛』としか見てないんだ。相手は魔物だぜ! 生きた空想さ。 ヤツと対峙したときなんか、ボクは足がすくんじまったよ。 自分より体のでかくて好戦的なヤツなんかを相手にするのは御免だったんでな。 何でこんな講座に入ったのか今さらになって思うと馬鹿らしくてさ。 やっぱボクみたいなやつこそ聖水工場で安全に働くのが向いてるのかもね。 そうさ奴らはホントに変態なんだ。 魔物に限らず、先輩もな。君なんかはヤツらに近づかん方がいい。それが一番、身のためだ。    
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