神が無く月の詩

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『蒼い空』 訳もなく歩き続けた。 決められた道を歩き続けた。 それになんの疑問すら抱かない。 だってそれが人生でしょ? 見えるのは廃屋。 そして残酷なまでに蒼い空。 えぇ。 残酷。 なんて残酷な蒼。 胸に刺さる鮮やかな蒼。 蒼蒼蒼蒼蒼蒼蒼蒼… ウツクシイ? アレガウツクシイ? 気ずけば頬に一滴。 あぁ… あれが美しいと言うのか… 何も考えなければ… ただ歩き続けてれば… 何にも傷付けられないかと思った。 だけど… そうかー。 何も考えなければ 見失うんだー。 何も考えないで得るのは 孤独 何も考えないで失うのは 幸福 そうか。 そうだった。 小さい頃は当たり前だったのに…。 大きな眼で物事を見ては考えていたのに…。 いつからかそれが嫌になった。 怖くなった。 いつまでも夢の中にいたかったー。 着実に現実を知らされる。 それでも信じたかった。 だけど現実の中でそれを信じるコトが出来なかったー。 弱いから。 まだまだ弱いから。 まだ間に合うだろうか? まだ蒼は美しいままだ。 もう間に合わないのだろうか? 廃屋の中の時計はズレてしまった。 それでもー。 まだ何とかなるなんて信じる私は馬鹿なのか? 「あぁ、どうかその蒼だけは壊れないでー。」 ーー美しい『蒼い空』ーー
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