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―ド クン―
何かが弾けた。
それが何かも分からない内に君信は両足で地に立って駆けていた。
ソファを乗り越えて、灰皿を蹴倒して。
開かない自動ドアを無理矢理こじ開ける。
近くなのにこんなにも遠い、現実を受け入れないために。
そして。
「うあぁぁぁぁぁぁっ!!」
―吠えた―
出来た隙間から転がるようにして飛び出る。
アスファルトとの摩擦で剥き出しの肌に傷が付いていく。
それでも構う事無く目の前の二人との距離を縮めていった。
「がぁっ、……あぁぁぁっ!!」
刹那、目前の神楽の口から苦悶の叫びが漏れた。
血と共に苦痛を吐き出す。
その叫びすら許さないかのように再び緋純が手に力をこめていく。
―…やめ……ろ―
神楽の体が弛緩する。
痙攣する。
やがて……動かなくなった。
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