567人が本棚に入れています
本棚に追加
喉から潰れたような呼気が漏れる。
風穴が開いたように空気が通り過ぎていく。
「恐いでしょ?辛いでしょ?苦しいでしょ?壊れちゃいそうでしょ?」
壊れたデッキのように緋純は呟く。
答えを求めず、自己完結のままただ力を込める。
神楽の口の端から涎が流れ落ちた。
瞳から徐々に光が遠ざかる。
暗い色が宿りだす。
何も映さない闇と共に。
―世界が―
―色を失っていく―
―体が冷たい―
―もう何も分からない―
「お願い」
優しい声だった。
本当に最後。
母としての言葉。
母としての最後の言葉。
「死んで」
最初のコメントを投稿しよう!