~消え逝くは幼き日とともに~

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君信は走っていた。 風だけが時間の流れを伝える空間の中を。 疑問が頭の中で暴れ回っていた。   携帯は捨てたはずだ。   ―なぜ?―   それを神楽が持っていた。   ―なぜ?―   神楽は俺から逃げ出した。   ―なぜ?―          ―なぜ?―    ―なぜ?―  ―なぜ?―         ―なぜ?― ―なぜ?―     ―なぜ?―   ―なぜ?―     「なんでだ!!ばか神楽ッ!」   走りながら悪態を吐いていた。 どこにいるかもわからない。 ただ放っておいたら神楽はいなくなってしまう。 そんな思いだけが君信の体を動かしていた。
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