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あてなんか無い。
病院の中へ入ったのもただの悪あがきにしか思えなかった。
それでも神楽を抱えて走る。
―ズクン―
腕が疼く。
―ズクン―
血が溢れる。
―ズクン―
―ズクン―
―ズクン―
―ズクン―
―ズクン―
血が流れる。
二人分の血が混じり合い、お互いを赤く染めていく。
暗い廊下に点々と血の道が出来ていった。
「死ぬなよ……」
感覚が無くなりつつある腕。
目も霞む。
「…血ぃ……流しすぎたな…お互い」
ははと自嘲気味に笑う。
「…置いて」
神楽の声がした。
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