~消え逝くは幼き日とともに~

15/19
前へ
/111ページ
次へ
あてなんか無い。   病院の中へ入ったのもただの悪あがきにしか思えなかった。 それでも神楽を抱えて走る。     ―ズクン―   腕が疼く。   ―ズクン―   血が溢れる。   ―ズクン―       ―ズクン―    ―ズクン―   ―ズクン―         ―ズクン―         血が流れる。 二人分の血が混じり合い、お互いを赤く染めていく。 暗い廊下に点々と血の道が出来ていった。   「死ぬなよ……」       感覚が無くなりつつある腕。 目も霞む。     「…血ぃ……流しすぎたな…お互い」   ははと自嘲気味に笑う。           「…置いて」           神楽の声がした。  
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

567人が本棚に入れています
本棚に追加