~消え逝くは幼き日とともに~

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      ――――――     「俺は諦めないからな!……俺は……」   「お前……」   「死ぬなんて言うなよ……」   「…何が悪かった……んだろ…うな」   弱々しくて喋るのももう限界に近いらしい。 こうしている間にも血は流れ、新たな血溜りを作りだす。             ―時間の問題だ―     そんなことはわかってる! 出血多量。 内蔵損傷。 頭では分かっていた。 助かるはずなど無いと。 でも感情が認めない。 認めたくない。   「一緒にいて……くれ」   「え…?」   神楽が手を掴んでそう言う。 力もろくに入っていない。     「諦め……ないなら…最後の…我儘……聞け」     顔も青ざめている。 虚ろな目はもう君信すら映していない。 おそらくはもう何も見えてはいないだろう。   「………分かった」   君信は哀しい目で頷いた。
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